特集 食物アレルギー~研究の最前線~
II.食物アレルギーの発症のメカニズム 2.経口免疫寛容の破綻
井上祐三朗
1
Yuzaburo Inoue
1
1千葉大学大学院医学研究院小児病態学
pp.912-915
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201406026
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経口免疫寛容とは,食物や腸内共生細由来の無害な抗原に対して,不要な免疫応答が惹起されないように,消化管に備わっている仕組みの1つである。抗原特異的T細胞のクローン除去・無応答化・制御性T細胞の誘導がそのメカニズムと考えられている。また,腸管免疫機構の解明が進み,消化管の樹状細胞は制御性T細胞の誘導能が高いことや,腸管粘液が経口免疫寛容の確立に重要であることが明らかとなってきている。 食物アレルギーの病態における経口免疫寛容の破綻の関与はまだ明らかでないことが多い。直接の関与だけでなく,経皮感作をはじめとした他の発症寄与因子との相互作用についても,今後検討していく必要があると考えられる。