特集 高齢者のアレルギー性皮膚疾患
II.加齢と皮膚の生理機能~バリア機能を中心に~
冨永光俊
1
,
鎌田弥生
1
,
加茂敦子
2
,
髙森建二
3
Mitsutoshi Tominaga
1
,
Yayoi Kamata
1
,
Atsuko Kamo
2
,
Kenji Takamori
3
1順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所
2順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所/東海大学健康科学部看護学科講師
3順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所 所長/順天堂大学医学部附属浦安病院皮膚科名誉教授
pp.242-251
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201402034
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皮膚バリアは外来異物の侵入を防ぐ機能(outside to inside barrier)とともに,体内の水分蒸発を防ぐ機能(inside to outside barrier)を併せ持っている。しかし,加齢とともに皮膚は,1)脂質の減少,2)天然保湿因子の減少,3)角質細胞のターンオーバーと角層構造の変化,4)環境因子の影響などにより,かさついた皮膚,すなわち乾燥肌になりやすく,その本態は角層水分保持機能の低下である。加齢による乾燥肌では,角層水分量が低下することで皮膚の柔軟性が失われるため,硬化し,皮膚バリア機能も低下し,またかゆみを伴うケースが多い。本稿では,バリア機能を中心に加齢による皮膚の生理機能の変化と皮膚乾燥に由来するかゆみのメカニズムについて概説する。