特集 痒みのメカニズム2016
Ⅶ.皮膚疾患と痒み
冨永光俊
1
,
加茂敦子
2
,
鎌田弥生
3
,
梅原芳恵
3
,
高森建二
4
Mitsutoshi Tominaga
1
,
Atsuko Kamo
2
,
Yayoi Kamata
3
,
Yoshie Umehara
3
,
Kenji Takamori
4
1順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所准教授
2順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所/東海大学健康科学部看護学科講師
3順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所
4順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所所長/順天堂大学医学部附属浦安病院皮膚科名誉教授
pp.1230-1242
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201609054
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蕁麻疹の痒みに関与するヒスタミンは代表的な起痒物質である。痒みを伴う皮膚疾患の中には,抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)が奏効し難いアトピー性皮膚炎,乾癬,乾皮症があり,これら皮膚疾患の共通点は皮膚バリア機能の異常である。皮膚バリアは外来異物の侵入と体内の水分蒸発を防ぐ機能を併せ持つ。しかし,環境及び遺伝要因により皮膚バリア機能が脆弱化すると,知覚神経線維(主にC-線維)が表皮内に侵入することで,痒み過敏を引き起こす。このような痒みは,我々に皮膚バリア機能の低下を知らせる生体警告信号の役割を担っている。本稿では,皮膚バリア機能の低下によって生じる抗ヒスタミン薬抵抗性の痒みのメカニズムとその対策について概説する。