特集 薬剤性肺障害の手引き
VIII.その他の薬剤(免疫抑制薬,漢方薬,抗菌薬,抗循環器病薬など)による肺障害
津島健司
1
,
巽浩一郎
2
Kenji Tsushima
1
,
Koichiro Tatsumi
2
1千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学特任助教
2千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学教授
pp.404-409
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201303072
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薬剤性肺障害発症の背景因子は多様であるが,その1つとして,肺における先行病変,とくに慢性炎症性肺疾患の存在があげられる。本稿で論じる薬剤は,〈1〉 肺先行病変に対しての治療薬として使用,あるいは 〈2〉 併存する肺病変の存在を認識しながら,あるいはその存在を認識せずに使用する可能性がある薬剤であり,今後もその使用頻度は高まると予想される。したがって,何らかの呼吸器疾患発生の際には,投与薬が関与している可能性を疑う姿勢が,薬剤性肺障害の診断確定へ向けて重要である。臨床病型は,肺胞・間質領域病変が主体であり,内服後,早期に発症するものから数年を経て発症するものまで時間的経過は多様である。発症機序は,免疫系細胞の活性化による III 型, IV 型のアレルギー反応だけでなく, I 型によるものも存在し,また,直接的な細胞障害も想定される。治療は,被疑薬の中止を行い,症状や画像の改善が得られない場合,中等症以上の病態である場合には,副腎皮質ステロイド薬の内服やメチルプレドニゾロンの大量療法を必要とする。