Japanese
English
第5回線合医学賞入選論文
加水分解を中心とした澱粉の研究
Studies on Starch about Hydrolysis
久志本 常孝
1
Tsunetaka KUSHIMOTO
1
1慈恵医大栄養化学研究室
1Laboratory of Nutritional Chemistry, Jikei Medical College
pp.133-147
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905862
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まえがき
私が生化学の研究に入つたのは昭和19年だから,あれから早くも10年の歳月が流れ去つた事になる。当時恩師永山教授から肝臓のGlycogenに関するThemaをいたゞいて欣喜雀躍したのも今は昔である。私は初めにGlycogenの定量の練習を始めた。手持の小金井先生の「生化単微量定量法」にはSimonowitz法が記載されていたので本法に準ずることにした。処がSimonowitz氏法と言うのはGlycogenを加水分解するだけの操作に2時間以上の時間が必要であるため,当時空襲の合間を見て行う実験には自ら不向きと言わねばならなかつた。文献渉猟の結果Sahjun氏法1)と言うのが私の目的に叶つている事を知り此操作の追試と相成つた。
Sahjun氏法は其原理に於てSimonowitz氏法と格別変つた処はないのだが水解に使用する硫酸の濃度が高いため水解所要時間が15分程度に短縮されるのである。しかし私が当時実験した所ではSahjun氏法で得た値がSimonowitz氏法のそれよりも大約30%も高かつた,多分私の不手際の所産と思うが今日に至るも未だ検討せずにいる。
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