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連載 私達の研究(173)
抗菌薬多剤耐性におけるefflux pumpの役割を見直す
Role of efflux pump in multiple antimicrobial resistance
横田伸一
1
,
佐藤豊孝
2
Yokota Shin-ichi
1
,
Sato Toyotaka
2
1札幌医科大学医学部微生物学講座 教授
2札幌医科大学医学部微生物学講座 助教
キーワード:
Efflux pump,Escherichia coli,フルオロキノロン,チゲサイクリン,タゾバクタム/ピペラシン
Keyword:
Efflux pump,Escherichia coli,フルオロキノロン,チゲサイクリン,タゾバクタム/ピペラシン
pp.150-155
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201708150
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抗菌薬耐性菌の拡大はAMR(antimicrobial resistance)問題として国際的に早急なアクションが求められている。私たちは,現時点で感受性率の高い薬剤や多剤耐性菌感染症治療の最終選択肢として位置づけられている薬剤の耐性機序に特に着目している。耐性率の低いうちに耐性機序を詳細に検討することが今後の耐性拡大阻止につながると考える。本稿では,大腸菌臨床分離株を用いた私たちの最近の研究から,フルオロキノロン耐性,チゲサイクリン耐性,タゾバクタム/ピペラシリン耐性について述べる。これらには,薬剤排出ポンプ(efflux pump)による菌体からの薬剤の排出が共通して関与していた。Efflux pumpは多剤耐性をもたらす機構として位置づけられているが,それ単独では必ずしも高度な耐性の付与までには至らないと認識されてきた。私たちはefflux pumpがもたらす抗菌薬耐性の重要性を再認識するに至った。