Japanese
English
特集 “One Health時代”の耐性菌対策・研究
1.One Healthの中で進められる耐性菌対策
AMR control based on“One Health”policy
渡邉治雄
1
Watanabe Haruo
1
1国立感染症研究所 名誉所員/国際医療福祉大学大学院 教授
キーワード:
薬剤耐性(AMR)
,
サーベイランス
,
WHO
,
GAP
,
AGISAR
,
JANIS
,
JVARM
,
One Health
Keyword:
薬剤耐性(AMR)
,
サーベイランス
,
WHO
,
GAP
,
AGISAR
,
JANIS
,
JVARM
,
One Health
pp.28-39
発行日 2017年4月25日
Published Date 2017/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201705028
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カルバペネム剤に対する耐性腸内細菌科細菌(CRE)の治療に対してコリスチンが認可されたときには,すでにその耐性菌が出現していた。1950年代に発見されたコリスチンは腎障害等の副作用があるためヒトには使われてこなかったが,動物等には長らく使用されてきていた。そこで耐性遺伝子の選択が起こり,その遺伝子がヒトへの病原体にまで伝達されてしまっていた。バンコマイシン耐性腸球菌の出現以降,ヒトに使用される抗菌薬あるいはその類似の構造体の抗菌薬を動物等に多量に使用し続けると,それに対する耐性遺伝子や耐性菌が選択される可能性があることの警鐘が鳴らし続けられていたが,再度起こってしまった。いまこそ,耐性菌の出現・拡散を防ぐためには,動物,ヒトおよび環境も含めて地球規模で耐性菌の実態を把握し,正しく評価する態勢の構築 ,“One Health”の考えに基づく対策の施行が重要であるとの再認識のもと,グローバルな取り組みを世界が一丸となって行うときでもある。