Japanese
English
特集
1.肺炎の疫学 -超高齢社会における罹患頻度と予後-
The epidemiology of pneumonia in Japan -Prevalence and mortality in super-aged society-
朝野和典
1
Tomono Kazunori
1
1大阪大学医学部附属病院感染制御部 教授
キーワード:
肺炎
,
超高齢化社会
,
受療率
,
死亡原因
,
老衰
Keyword:
肺炎
,
超高齢化社会
,
受療率
,
死亡原因
,
老衰
pp.25-31
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201612025
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「肺炎による死亡率は増加傾向である」という言葉の背景には,肺炎の死亡者の95%以上が65歳以上の高齢者であり,高齢化社会における全人口に占める高齢者の割合の増加に相関して肺炎死亡の頻度は増加するという疫学的必然性が存在する。一方で,詳細に観察すると肺炎死亡率が増加しているというのは正しくない。高齢化社会の進展にもかかわらず肺炎の死亡率は,近年,増加傾向が頭打ちになってきている。この日本人の肺炎死亡率の増加傾向の鈍化の背景には老衰死の増加が関与している可能性がある。肺炎は終末期の患者に誤嚥を基礎として併発する疾患としても多いものである。また,老衰の過程におけるうっ血,喀出力の低下にともなう生理機能の低下は肺炎の病態との鑑別が困難である。終末期の肺炎の合併は老衰が主たる死亡原因であるとの認識が広がってきている。