連載 カラーグラフィック
画像から読み解く感染症(10)
Ⅲ 肺 5.ニューモシスチス肺炎
田中伸幸
1
,
中村洋
2
,
国弘佳枝
3
,
小林大河
4
,
松永尚文
5
Tanaka Nobuyuki
1
,
Nakamura Hiroshi
2
,
Kunihiro Yoshie
3
,
Kobayashi Taiga
4
,
Matsunaga Naofumi
5
1済生会山口総合病院放射線科部長
2済生会山口総合病院放射線科副院長
3山口大学大学院放射線科助教
4山口大学大学院放射線科診療助教
5山口大学大学院放射線科教授
pp.4-10
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201604004
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ニューモシスチス肺炎(PCP)はPneumocystis jiroveciiによる日和見肺炎で,免疫抑制療法施行中の患者,臓器移植患者,AIDS患者に高頻度に発症する。胸部単純X線所見では,上中肺,肺門側主体のすりガラス様陰影が高頻度であるが非特異的である。高分解能CT(HRCT)所見では,両肺広範にすりガラス様高吸収域(GGA)の出現する頻度が高く,モザイクパターンを呈すればさらに特徴的である。小葉中心性粒状影の頻度は低く,進行しない限りコンソリデーションは出現しないことが多い。AIDS患者の肺炎では上肺野に気腫性肺嚢胞が出現することがある。鑑別疾患としてサイトメガロウイルス(CMV)肺炎や薬剤性肺障害が重要である。