特集 抗菌薬の「なぜ?」に答える
ニューモシスチス肺炎
山中 純子
1
1国立国際医療研究センター 小児科
キーワード:
HIV感染症
,
Pentamidine
,
同種移植
,
肺炎-ニューモシスチス
,
Trimethoprim-Sulfamethoxazole
,
造血幹細胞移植
,
予防的抗菌剤投与
,
原発性免疫不全症
Keyword:
Antibiotic Prophylaxis
,
Transplantation, Homologous
,
HIV Infections
,
Trimethoprim, Sulfamethoxazole Drug Combination
,
Hematopoietic Stem Cell Transplantation
,
Pentamidine
,
Pneumonia, Pneumocystis
,
Primary Immunodeficiency Diseases
pp.1475-1479
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2021021161
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<Key Points>(1)PCPの治療の第一選択薬は重症度にかかわらずST合剤である。(2)ST合剤は消化管からの吸収が良好であるため、経口投与が推奨される。(3)ST合剤は発熱、発疹、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少)といった副作用を認めることがあるが、軽症の場合には治療をすぐに中断せず、治療継続の可否を慎重に検討する。(4)ST合剤で治療開始後5~7日で治療反応が悪い場合には第二選択薬の投与を検討する。(5)PCPは真菌感染症ではあるが一般的な抗真菌薬は無効であり、進行すると致命率が高く、早期診断と早期治療が重要である。(6)重度の細胞性免疫低下を認める症例においては予防投薬がPCP予防に高い効果がある。予防においても第一推奨薬はST合剤である。(7)PCPの補助的治療として、急激な菌体崩壊によるサイトカイン誘導によってもたらされる肺傷害を防ぐために副腎皮質ステロイドを併用することは有効である。
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