特集 臓器障害・生理機能に対応した抗菌薬の適正使用
2.特殊な患者に対する抗菌薬の使用方法-種類の選択・用法用量設定・適正使用-
2)透析患者
村上穣
1
Murakami Minoru
1
1佐久総合病院腎臓内科 医長
キーワード:
: 透析患者
,
抗菌薬
,
用法用量
Keyword:
: 透析患者
,
抗菌薬
,
用法用量
pp.61-66
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201603061
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易感染性の透析患者において,感染症は死亡原因の第2位を占めている。特殊な患者背景を有する透析患者であるからこそ,感染症診療のロジックを意識して診療に当たる必要がある。透析患者の感染症診療では,腎不全の原疾患と治療内容を把握し,薬剤間相互作用に注意を払う。その上で透析患者においても第一選択薬の抗菌薬を選択し,初回は常用量で投与する。腎排泄型の抗菌薬であるバンコマイシンやアミノグリコシド系抗菌薬を投与する際はTherapeutic Drug Monitoring(TDM)を実施し,より慎重に投与する必要がある。感染症診療のロジックや抗菌薬,透析に関する幅広い知識が必要とされるため,感染症内科医と腎臓内科医(透析医),薬剤師,透析室スタッフ等がチーム医療を実践し,透析患者の感染症診療に当たることが肝要ではないかと考える。