Japanese
English
特集 ヒトの健康・疾患と腸内細菌の関わり
2.腸内細菌と免疫系
Gut microbiota and the immune system
大野博司
1
Ohno Hiroshi
1
1理化学研究所統合生命医科学研究センター粘膜システム研究グループ グループディレクター
キーワード:
:腸管関連リンパ組織
,
IgA
,
Th17細胞
,
制御性T細胞(Treg細胞)
Keyword:
:腸管関連リンパ組織
,
IgA
,
Th17細胞
,
制御性T細胞(Treg細胞)
pp.32-39
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201602032
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
我々の腸内には膨大な数の腸内細菌が常在しており,我々の生理や病理に多大な影響を与えている。免疫系も腸内細菌に大きく影響されている。腸管免疫系の発達には腸内細菌の定着が必要である。また,全身免疫系においても,CD4+ヘルパーT細胞,特にTh1細胞の増加は腸内細菌の定着に依存している。近年の研究から,Th17細胞や制御性T細胞(Treg)の腸管での分化誘導へのセグメント細菌や,Clostridiales目細菌群などの腸内細菌の関与も示されている。一方,我々の体は腸内細菌を無条件に受け入れているわけではなく,腸内細菌の質や量を感知し,Ig(免疫グロブリン)A抗体を分泌して腸内細菌を排出し,あるいは封じ込めようとする。この腸内細菌の感知に重要な役割を果たすのが,腸内抗原の取り込みに特化した特殊な腸管上皮M細胞である。