Japanese
English
特集 ヒトの健康・疾患と腸内細菌の関わり
1.ヒト腸内細菌叢の構成とその意義
Human gut microbiota:composition and significance
松木隆広
1
,
松本敏
2
Matsuki Takahiro
1
,
Matsumoto Satoshi
2
1ヤクルト中央研究所基盤研究所共生システム研究室 室長
2ヤクルト中央研究所基盤研究所共生システム研究室 所長
キーワード:
腸内細菌叢
,
感染
,
高齢者
,
疾病
,
16S rRNA遺伝子
Keyword:
腸内細菌叢
,
感染
,
高齢者
,
疾病
,
16S rRNA遺伝子
pp.25-30
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201602025
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ヒトは出産と同時に外界に存在している微生物に曝され,その結果,多種多様な菌から構成される腸内菌叢が腸管内で形成される。16S rRNA遺伝子を標的とした網羅的な解析手法により,ヒトの腸内菌叢は,成人ではひとり当たり数百の菌種から構成され,個人ごとにその構成が異なること,Bacteroidetes,Firmicutes,Actinobacteriaの3つの門が最優勢を占めることなどが明らかとなった。一方,乳児の腸内菌叢構成は,成人とは異なること,腸内菌叢の多様性が低いこと,成人に比べて個人差がより大きいことなどが報告されている。また,腸管疾患のみならず,肥満やがん,動脈硬化,自閉症などの腸管外の疾病においても特徴的な菌叢構成が同定されつつある。本稿では,乳児,成人,高齢者および各種の患者における腸内菌叢の特徴と,最近話題となった研究を紹介し,それぞれの菌叢構成を特徴づける要因とその制御の可能性について考察する。