連載 カラーグラフィック 画像から読み解く感染症(8)
Ⅲ 肺 3.肺結核症
氏田万寿夫
1
Ujita Masuo
1
1立川綜合病院放射線診断科 医長
pp.4-11
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201602004
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結核症は抗酸菌の一種である結核菌Mycobacterium tuberculosisによる感染症である。結核患者から結核菌を含む飛沫核を吸入し,菌が肺胞領域に到達すると感染が成立するが,宿主の結核防御免疫により,生涯,発病するのは10%以下と言われる。発症要因でもっとも重要であるのが個体の免疫状態であり,糖尿病,慢性腎臓病・透析,悪性腫瘍などの基礎疾患や,ステロイド,免疫抑制剤や抗TNF-α(腫瘍壊死因子α)薬などの投与がリスクファクターであるが,わが国でもっとも多いのは高齢者結核である。肺結核とは肺および気管支を主要罹患臓器とする結核症であり,全体の約90%を占める。感染症法に基づき,結核症は診断後ただちに所轄の保健所へ届ける義務がある(二類感染症)。