Japanese
English
連載 私達の研究(155)
病原細菌の感染と宿主応答の分子論-細菌感染によるインフラマゾーム活性化機構およびレプトスピラの持続感染機構-
Molecular theory of bacterial infection and host response-Inflammasome activation by bacteria and persistent infection by Leptospira-
鈴木敏彦
1
,
トーマ・クラウディア
2
,
高江洲義一
2
,
比嘉直美
3
,
仲宗根昇
2
Suzuki Toshihiko
1
,
Toma Claudia
2
,
Takaesu Giichi
2
,
Higa Naomi
3
,
Nakasone Noboru
2
1琉球大学大学院医学研究科細菌学講座/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科細菌感染制御学分野 教授
2琉球大学大学院医学研究科細菌学講座 助教
3琉球大学大学院医学研究科細菌学講座 技術専門職員
キーワード:
インフラマゾーム,炎症,細菌感染,免疫回避
Keyword:
インフラマゾーム,炎症,細菌感染,免疫回避
pp.109-114
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201602109
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
細菌をはじめとする病原体の感染による病態の理解には,病原体側・宿主側の両者の観点から,感染・発症機序を解明していくことが重要である。昨今の研究手法の発達により,病原体の感染機構および惹起される生体の応答を分子レベルで記述できるようになってきた。これにより,感染症が進行する際の病態形成プロセスと,その後の免疫応答への理解が進んできた。宿主自然免疫系システムの病原体パターン認識機構は,病原細菌のみならず,ウイルス・寄生虫等の病原体の感染防御に重要な役割を果たしていることが知られている。その中でも,炎症性サイトカイン(IL〔インターロイキン〕-1βおよびIL-18)産生に必須なカスパーゼ-1活性化の分子機構は,感染防御のみならず,慢性炎症疾患の一因としても注目されている。本稿ではまず,これまでに我々が研究してきた細菌感染にともなうカスパーゼ-1活性化の分子機構および細菌による活性化抑制機構について概説する。さらに,日本国内で沖縄県にもっとも感染例が多いレプトスピラ症に関しても基礎的研究を展開している。特に,媒介動物である野生のげっ歯類における持続感染のメカニズムを探ることを研究目的のひとつとしている。本稿では,これまでの我々のレプトスピラ研究についても紹介する。