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臨床的特徴
肺結核症は結核菌によって引き起こされる感染症である.日本での肺結核症の発生は,衛生状態の改善や有効な薬剤の開発により第二次世界大戦前に比べて激減したとはいえ,最近は逆にわずかながら増加傾向を示し,若年者での発症や集団感染の報告もあり,社会的にも軽視できない疾患である.AIDS(acquired immunodeficiency syndrome,後天性免疫不全症候群)などの免疫不全を背景として,肺結核が発症することもよく知られている.肺結核症には,結核性胸膜炎,粟粒結核,増殖性病変,滲出性病変などいろいろな病型がある.この中で,腫瘍と鑑別を要し,細胞診の対象となる場合があるのは,胸部X線で肺野に孤立性の結節影を形成する場合である.臨床的には,発熱・盗汗・血痰・咳嗽などがみられ,血沈の亢進やCRP(C-reactive protein,C反応性蛋白質)高値などの炎症を反映した検査所見を呈する.確定診断は喀痰中の結核菌を,喀痰塗沫標本の抗酸菌染色や,小川培地での培養で同定することであるが,塗沫標本での抗酸菌染色は検出率が低く,結核菌の培養には長期間を要するため,最近では喀痰中の結核菌由来のDNAをPCR法(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)で増幅して検出する方法も用いられている.PCR法による結核菌の検出は,鋭敏ではあるが,一方,検体中に結核菌のDNAが混入することなどによる偽陽性の可能性もある.確定診断を得るために気管支鏡により直接病変から組織を採取し,細菌培養や塗沫標本,さらに病理標本を作製することもしばしば行われている.類縁疾患に肺非定型抗酸菌症があるが,これは結核菌以外の抗酸菌による肺の感染症で,組織学的所見は肺結核と類似している.
細胞像
(1)背景の炎症性滲出物,乾酪壊死
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