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特集 感染症における新薬開発のジレンマと展望 -日本が先駆者となるために-
9.感染症治療薬の新しい試み 2)難治性感染症に期待される抗菌免疫療法
Antibacterial immunotherapy against refractory infection
佐和貞治
1
,
加藤秀哉
2
,
清水優
2
Sawa Teiji
1
,
Katoh Hideya
2
,
Shimizu Masaru
2
1京都府立医科大学麻酔科学教室 教授
2京都府立医科大学麻酔科学教室
キーワード:
細菌感染症
,
クオラムセンシング
,
Ⅲ型分泌システム
Keyword:
細菌感染症
,
クオラムセンシング
,
Ⅲ型分泌システム
pp.96-106
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201601096
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難治性の感染症に期待される新たな抗菌免疫療法の開発について,これまでの抗菌薬開発の歴史,細菌感染に対する免疫療法の取り組み,抗体医薬品の現状,さらに我々の緑膿菌に対する抗体療法の取り組みを紹介しながら考察する。殺菌性の高い従来からの抗菌薬の汎用は,これまでに常に新たな高度耐性菌の出現をもたらしてきた。今後は, 毒素分泌システム,クオラムセンシングシステムなどの細菌の病原性メカニズムを標的とすることで,耐性化が生じにくい抗菌薬の開発が求められている。細菌感染に対する遺伝子組換え技術を用いた抗体医薬品の開発が望まれるところであるが,技術的な観点や市場のニーズ,そしてビジネスの視点において成功には至っていない。血液製剤由来のγグロブリン分画等を有効に利用することも視野に入れた抗菌作用をもつ医薬品の開発が望まれる。