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連載 私達の研究(152)
原核生物の獲得免疫に見られる新機構から紐解かれてきたゲノム進化
Highlighting genome evolution by a novel acquired immunity system in prokaryotes
渡辺孝康
1
,
村瀬一典
2
,
中川一路
3
,
丸山史人
4
Watanabe Takayasu
1
,
Murase Kazunori
2
,
Nakagawa Ichiro
3
,
Maruyama Fumito
4
1東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター食品病原微生物学研究室 特任助教
2京都大学大学院医学研究科微生物感染症学分野 特定助教
3京都大学大学院医学研究科微生物感染症学分野 教授
4京都大学大学院医学研究科微生物感染症学分野 准教授
キーワード:
CRISPR-Cas系,(バクテリオ)ファージ,獲得免疫,ゲノム進化
Keyword:
CRISPR-Cas系,(バクテリオ)ファージ,獲得免疫,ゲノム進化
pp.118-128
発行日 2015年10月25日
Published Date 2015/10/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201511118
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原核生物のゲノムにみられるclustered regularly interspaced short palindromic repeat(CRISPR)およびCRISPR関連遺伝子群(cas)は,外来性のファージなどに対抗するための獲得免疫を担う領域である。CRISPR-Cas系の名を一躍有名にしたのはゲノム編集技術への応用であると言っても過言ではない。しかし一方で,種々の細菌種における比較ゲノム解析から,同系は原核生物のゲノム進化において重要な役割を担っていることが明らかになってきており,いまや微生物学における主要トピックのひとつとして盛んに研究されている。本稿では,原核生物が有する外来性因子への防御機構,特にCRISPR-Cas系の獲得免疫機構に関する知見を整理するとともに,我々の研究成果を含む比較ゲノム解析の知見を紹介し,ゲノム進化との関連を考察したい。