特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
6.免疫学
分子進化から見る自然免疫
瀬谷 司
1
Tsukasa Seya
1
1北海道大学大学院医学研究科免疫学
pp.459-461
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100558
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自然免疫系は自己にない微生物成分(パターン)を識別し,微生物の回避応答を誘起する系といえる。自然免疫の概念はJanewayなどによって1980年台に提唱され,Toll-like receptor(TLR)の発見を皮切りに現実化した1,2)。TLRはパターン認識受容体と呼ばれる。微生物パターン分子-TLRの機能解析から,獲得免疫のペプチド特異認識の機構も自然免疫によって先導される広義のエフェクター系であると判明してきた。獲得免疫が脊椎動物にのみ見られる機構である一方,自然免疫は広く生物全般に保存されている機構である。では自然免疫はどのような進化で獲得免疫とリンクするように発達したのか。本総説ではパターン認識受容体の分子進化の観点から,その本来の役割と免疫系への収束の起源を考察する。
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