Japanese
English
特集 持続感染・潜伏感染の機序と病態
序 -感染の持続と潜伏-
Persistence and latency of infection
光山正雄
1
Mitsuyama Masao
1
1京都大学 名誉教授/京都大学大学院総合生存学館 特定教授
キーワード:
持続感染
,
潜伏感染
,
再活性化
,
変異
,
免疫回避
Keyword:
持続感染
,
潜伏感染
,
再活性化
,
変異
,
免疫回避
pp.22-23
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201509022
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- Abstract 文献概要
感染症の多くは急性の経過をとり,感染死に至らない場合は,宿主の免疫応答や治療薬剤の効果によって病原体は体内から駆逐され,次第に治癒へと向かう。一方,急性期を過ぎて臨床症状が治まったかに見えても,その後も病原体が体内に持続し,何らかの誘発条件によって活性化され,ふたたび発症するタイプの感染症が存在する。発症から長い経過をとる,いわゆる慢性感染とはやや異なり,ヘルペスウイルスに代表される急性期後の潜伏感染による初発時とは異なった病型での再発には,宿主免疫防御による攻撃を巧妙に免れる機序が働いている。また,一向に減少が進まない最近の結核では,若年時に感染した結核菌が完全排除されないまま冬眠するかのように潜伏し,高齢者結核として発症する例が多くみられる。病原体の長期持続,潜伏感染の機序が少しずつ解明されて来ており,その種の感染病態の新たな理解が深まるものと期待される。本特集は,感染の持続と潜伏の機序について,主要な病原体研究の第一人者に最新の治験を紹介いただき,この種の感染の理解を深めるものとして企画した。