Japanese
English
連載 私達の研究(147)
デングウイルスの I 型インターフェロン誘導回避機構
Dengue virus conceals double-stranded RNA in intracellular membrane vesicles to escape from interferon response
内田玲麻
1
,
森田公一
2
Uchida Leo
1
,
Morita Kouichi
2
1長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学分野 客員研究員/酪農学園大学獣医学群獣医学類人獣共通感染症学 助教
2長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学分野 教授
キーワード:
デングウイルス,ウイルス由来二本鎖RNA,細胞内局在, I 型インターフェロン誘導,回避機構
Keyword:
デングウイルス,ウイルス由来二本鎖RNA,細胞内局在, I 型インターフェロン誘導,回避機構
pp.115-121
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201506115
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
我々の研究室では,熱帯地方に蔓延する,デング熱,ウエストナイル熱,日本脳炎,黄熱病,リフトバレー熱などの蚊媒介性ウイルス感染症の研究を行っている。特にデング熱は年間1億人近くのヒトが感染しており,昨年(2014年)は東京で70年ぶりの国内流行も発生した最重要の研究対象である。デングウイルス(Dengue virus:DENV)は蚊媒介性ウイルスの中でもっともヒトに適応したウイルスで,患者はきわめて高いウイルス血症を示す。我々は,この高増殖性の要因として自然免疫系のインターフェロン(IFN)抑制機構に着目し,IFNの誘導因子であるウイルス二本鎖RNAが細胞の検出系を回避する機序を発見した。今後,抗ウイルス薬開発の標的探索の見地からも重要な発見と考えている。