特集 狂犬病・デング熱・マラリア・コクシジオイデス症―海外で罹る危険性のある感染症
海外で罹る危険性のある感染症update
2.デング熱・デング出血熱
原田 文植
1
,
高崎 智彦
1
1国立感染症研究所ウイルス第1部
pp.556-560
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101098
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デングウイルス感染症であるデング熱(dengue fever)およびデング出血熱(dengue hemorrhagic fever)は,蚊によって媒介される急性熱性疾患で,世界の熱帯・亜熱帯地域で流行が認められている.現在,日本国内でのデングウイルスの存在は確認されていないが,日本人旅行者の渡航先は流行地であるアジア地域が最も多いこと,都市部やリゾート地でも感染することなどから,重要な輸入感染症の1つであり,年間数十例が報告されている.
デングウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属に属する節足動物媒介性ウイルスであり,ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介され,ヒトに感染する.デングウイルス感染者の多くは不顕性感染に終わるが,発症した場合,非致死性の熱性疾患であるデング熱あるいは致死的疾患であるデング出血熱・ショック症候群という2つの異なる病態を示す.
現在,デングウイルスに対するワクチンは開発段階であり,有効な特異的治療法がないため,蚊に対する予防策が最も重要である.したがってデングウイルスの流行地域に渡航する場合は,蚊に刺されにくい服装や虫除け剤等により,蚊の刺咬を避ける必要がある.
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