連載 エイズに見られる感染症と悪性腫瘍(20)〔最終回〕
マルネッフェイ型ペニシリウム症
小川吉彦
1
,
渡邊大
2
Ogawa Yoshihiko
1
,
Watanabe Dai
2
1大阪医療センター感染症内科
2大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター
pp.4-10
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201506004
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マルネッフェイ型ペニシリウム症は環境真菌のひとつであるPenicillium marneffei感染によって引き起こされる全身性真菌感染症であり,免疫機能の低下したHIV感染者を中心に全身性播種性病変を示すことが知られている。地域流行型真菌感染症であり,流行地域は東南アジアを中心としてオセアニアでも散見され,近年では流行地域に旅行したHIV感染者が長い潜伏期間を経て発症する報告がなされている。わが国では2013年6月までに8例が報告されているが,症例はここ数年,毎年のように認められるようになり,わが国におけるHIV感染者と流行地への往来の増加を反映しているものと推測される。