連載 エイズに見られる感染症と悪性腫瘍(19)
HIV脳症
森岡悠
1
,
岸田修二
2
Morioka Hiroshi
1
,
Kishida Shuji
2
1名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部/がん・感染症センター都立駒込病院感染症科
2初石病院神経内科
pp.4-9
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201505004
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従来,おもに未治療のHIV感染者に生じた認知症状を主体とする病態をHIV脳症と呼称していた。近年,抗HIV療法(ART)の進歩によってHIV脳症を含む中枢神経合併症は著減したが,ART導入中にもかかわらず,HIV感染者に神経認知障害が高頻度にみられることが問題になってきている。そのため,神経心理検査と日常生活機能の障害度に基づいて重症度を分類するHIV関連神経認知障害(HAND)という概念が提唱された。HANDの診断には他疾患の除外が必要である。HANDの治療はARTではあるが,特にすでにARTを導入しているHIV感染者に生じた場合は,中枢神経移行性も考慮したARTの最適化が必要である。