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プロテアーゼ阻害薬(asunaprevir)は,セリンプロテアーゼを直接阻害することにより,ウイルスゲノムの複製やウイルス粒子形成に必要なウイルスタンパクの産生を抑制し,ウイルス増殖を強力に阻害する。一方,NS5A阻害薬(daclatasvir)はNS5Aタンパクを標的とする低分子阻害薬であり,ウイルス増殖抑制に大きな効果が認められるdirect acting antivirals(DAAs)製剤のひとつである。Daclatasvirとasunaprevir併用療法24週間投与の国内第 III 相試験では,genotype 1型高ウイルス量症例に対して85%のSVR(sustained virological response)率であった。Daclatasvirとasunaprevir併用療法は,前治療non-responderやPEG-IFN(ペグインターフェロン)とRBV(リバビリン)併用療法不適格または不耐容例に対して同等の治療効果を認めていた。また,IL(インターロイキン)-28Bの遺伝子多型,年齢,性別,開始時のHCV(C型肝炎ウイルス)RNA量には関係なく,高い効果を認めた。Daclatasvirとasunaprevir併用療法の中止例は5.0%で,AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)値,ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値上昇と重症筋無力症の悪化であった。Grade 3/4の有害事象は5.9%で認められたが,鼻咽頭炎,頭痛,発熱などが主であり,副作用は少なく,高い忍容性を認めていた。一方,治療前にNS5A領域のL31M/VまたはY93Hのアミノ酸変異が認められていた症例では,効果が低下することが報告されている。