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連載 私達の研究(140)
肺アスペルギルス症と急性肺傷害に対する治療薬の開発を目指して
Aiming at the development of a new drug for treatment of pulmonary aspergillosis and acute lung injury
二改俊章
1
,
奧村欣由
2
,
小森由美子
3
Nikai Toshiaki
1
,
Okumura Yoshiyuki
2
,
Komori Yumiko
3
1名城大学薬学部微生物学研究室 教授
2名城大学薬学部微生物学研究室 研究員
3名城大学薬学部微生物学研究室 准教授
キーワード:
アスペルギルス,病原因子,エラスターゼ阻害因子,培養細胞,結晶構造
Keyword:
アスペルギルス,病原因子,エラスターゼ阻害因子,培養細胞,結晶構造
pp.110-117
発行日 2014年10月25日
Published Date 2014/10/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201411110
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アスペルギルスは,非病原性,微弱病原性の真菌で,深在性真菌症の中では現在,アスペルギルス症がカンジダ症を抜いて第一位となっている。小川らは,アスペルギルス症患者由来のAspergillus fumigatus(A. fumigatus)およびA. flavusがエラスチン水解酵素(エラスターゼ)を産生し,その活性がウリナスタチンによって阻害されることにより,喀血や血痰をくり返すアスペルギルス症の患者に対して,本薬剤と抗真菌薬の併用により短期間に喀血や血痰が消失することを認めた。本知見から,エラスターゼを阻害すればアスペルギルス症に対する治療効果が期待できるのではないかと考えた。本稿ではエラスターゼの病原性と,本菌を培養中に発見したエラスターゼ阻害因子の肺アスペルギルス症と急性肺傷害への治療薬としての可能性について述べる。