病気のはなし
肺アスペルギルス症
渡辺 一功
1
1順大・第3内科
pp.806-812
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201485
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
肺真菌症は一般にはまれな疾患として,従来あまり関心がもたれていなかったが,近年この肺真菌症がいろいろな点で重要な位置を占めつつあることは周知のとおりである.以前より,特に肺アスペルギローム,肺放線菌症(肺アクチノミセス症)の報告はしばしばみられていたが,近年はこの諸種の真菌はむしろいわゆるopportunistic pathogen,または感作アレルゲンとしての重要性が問題となってきている.
昨今の広域抗生剤,細胞毒性薬剤,免疫抑制剤,副腎皮質ホルモン剤の広範囲な使用ないし連用,肺結核治療後の遺残空洞,二次性嚢胞の発生,更に外科領域での肺手術,心臓手術,腎移植の晋及などはいずれも真菌症増加の原因となっているが,その発病の臨床的背景は決して一様でなく,その発生機序を一律に論ずることはできない.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.