３．蚊感染症 １）蚊媒介性ウイルス感染症 －デング熱・日本脳炎・チクングニア熱－

Mosquito-borne viral diseases －Dengue, Japanese encephalitis, Chikungunya－

　デング熱，日本脳炎，チクングニア熱は，それぞれのウイルスに感染した蚊の吸血行動により伝播する蚊媒介性ウイルス感染症であり，飛沫感染や接触・経口感染はしない。デング熱およびチクングニア熱は地球温暖化やグローバリゼーションの影響を受け，媒介蚊とともに流行の規模や地域を拡大し続けている世界的に重要な新興・再興感染症である。日本脳炎はワクチンによる予防が可能な感染症であり，1990年代に入ってからわが国ではほとんど見かけられなくなったが，熱帯の流行地では毎年，数万人の発症者が報告されている。いまもわが国では，日本脳炎ウイルスは鳥類－蚊－ブタのあいだで維持されており，予防を怠れば，今日でも感染が起こり得る感染症である。