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Volume 29, Issue 1 （December 2012）

化学療法の領域 29巻1号（2012年12月発行）

Japanese English

特集細菌の病原遺伝子の発現調節機構

９．細菌情報伝達阻害薬（TCS阻害薬）開発の現状 Recent development of the drugs targeting bacterial signal transduction 江口陽子 ¹ , 内海龍太郎 ² Eguchi Yoko ¹ , Utsumi Ryutaro ² ¹近畿大学大学院農学研究科バイオサイエンス専攻博士研究員 ²近畿大学大学院農学研究科バイオサイエンス専攻教授キーワード：細菌情報伝達 , ヒスチジンキナーゼ , MRSA , VRE , 二成分制御系 Keyword: 細菌情報伝達 , ヒスチジンキナーゼ , MRSA , VRE , 二成分制御系 pp.100-105

発行日 2012年12月25日 Published Date 2012/12/25

DOI https://doi.org/10.20837/2201301100

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　病原性細菌細胞膜には多くのヒスチジンキナーゼ（HK）活性を示すリン酸化酵素が存在し，細菌細胞の増殖，病原性の発現，クオラムセンシング，バイオフィルム形成にも関与している情報伝達（二成分制御系：TCS）に主要な働きをしている。TCSはヒト細胞にはなく，その阻害薬は既存薬と異なる作用で病原菌に働くため，MRSA（メチシリン耐性黄色ブドウ球菌）やVRE（バンコマイシン耐性腸球菌）を含む多剤耐性細菌等に有効に働く新規の抗菌薬として注目されている。本稿ではTCS阻害薬の現況を紹介する。