連載 臨床薬学のための病態生理(11)
各論 各種病態と薬物療法のターゲット
1.精神・神経系疾患 アルツハイマー病
佐々木央我
1
,
西尾崇志
2
,
山口登
3
1きのこエスポアール病院
2昭和大学附属烏山病院神経科
3医療法人社団 幸悠会 鈴木慈光病院
pp.651-658
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201902651
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認知症とは,「記憶障害などの認知機能の低下により,日常生活や社会生活に支障をきたすような状態」を言う1)。一般的な認知症の症状は,記憶障害,見当識障害,判断力低下,言語障害(失語),失行,失認などの中核症状と,不安,抑うつ,興奮,攻撃性,不眠,幻覚,妄想などの行動・心理症状(behavioral and psychological symptons of dementia:BPSD)とされる。また,「年齢に比例して正常とは言えない認知機能低下はあるものの,認知症の診断基準を満たさない臨床症候群」を軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)と定義している。認知症をきたす疾患としては,アルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)が最も多く,過半数を占める2)。的確な診断は,病態に応じた治療やケアの方針の決定,経過の予測や家族への説明,安心感につながる。また,臨床診断と病理診断の乖離の減少,病態の解明や根本治療薬の開発につながると考える。 【診療/治療ガイドライン】 ・日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」3)