特集 加速する核酸医薬開発
3.リン原子の立体化学を厳密に制御したリン原子修飾核酸医薬の開発
和田猛
1
1東京理科大学薬学部生命創薬科学科・教授
pp.599-605
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201902599
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核酸医薬の実用化において解決すべき課題は,核酸誘導体の生体内における安定性の向上,デリバリー技術の確立,副作用の軽減など多岐にわたる。これらの課題を解決するための手法の一つとして,核酸リン原子の化学修飾がある。核酸のリン酸部位を修飾すると,確実に分解酵素耐性を獲得できる反面,リン原子上に不斉点が発生し,合成されるオリゴマーは立体異性体の混合物となる。リン原子修飾核酸類縁体は,リン原子の絶対立体配置によって物理化学的性質や生化学的性質が大きく異なるため,それらを立体選択的に合成することは極めて重要である。筆者らは,これまでにオキサザホスホリジン法によるリン原子修飾核酸の立体選択的合成法を開発してきた。本稿では,このプラットフォーム技術の概要と,この技術を元に設立されたWave Life Sciences社によるリン原子の立体化学を厳密に制御したリン原子修飾核酸医薬の開発について概説する。