連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(34)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座
2東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座 教授
キーワード:
● 酵素誘導,心房細動,出血,自己免疫性肝炎,シイタケ
Keyword:
● 酵素誘導,心房細動,出血,自己免疫性肝炎,シイタケ
pp.168-173
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201501168
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〔今月の注目論文のポイント〕
1.2型糖尿病のためリラグルチドを投与された若年女性患者において,黄疸や肝機能検査値上昇を認め,マーカー陰性の自己免疫性肝炎と推定された症例が報告されている。
2.無作為化対照試験および観察研究のメタアナリシスにおいて,ビスホスホネート系薬物(特に静脈内投与)により心房細動リスクがわずかに上昇する可能性が示唆されている。
3.米国の医療データベースを用いたコホート研究において,ワルファリン服用患者の重篤な出血イベントリスクが抗菌薬併用により上昇し,併用開始早期の国際標準比(INR)チェックによってリスクが低下する可能性が示唆されている。
4.観察研究のメタアナリシスにおいて,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による上部消化管出血リスクが,非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)併用でさらに上昇する可能性が示唆されている。
5.乳癌のためタモキシフェンを投与されたフェニトイン服用中の女性患者において,タモキシフェン活性代謝物の濃度が極度に低値であり,相互作用が示唆される症例が報告されている。
6.健康成人を対象とした試験において,シイタケ含有食摂取によりガバペンチンの腎クリアランスがわずかに増加したが,血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)に変化はなく,臨床的には重要ではないことが示唆されている。