連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(60)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● セント・ジョーンズ・ワート,PT-INR,P-糖タンパク質,ABCG2,食事
Keyword:
● セント・ジョーンズ・ワート,PT-INR,P-糖タンパク質,ABCG2,食事
pp.1124-1130
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201704160
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.セント・ジョーンズ・ワートの薬物代謝酵素への影響を検討するために行われた試験において,被験者の女性6名のうち5名で日光に曝露した部位に皮膚症状および神経症状が発現し,男性6名には発現しなかったことが報告されている。 2.米国の病院で診療録が後ろ向きに調査され,尿路感染症で抗菌薬が投与されたワルファリン服用中の患者におけるPT-INR(プロトロンビン時間-国際標準比)の上昇は,調査した抗菌薬の中でセフトリアキソンが最も大きかったことが報告されている。 3.ダビガトランとフェニトインを併用していた患者において,相互作用確認のため測定されたダビガトランのトラフ濃度が検出限界未満であったことより,P-糖タンパク質の誘導による相互作用が示唆されている。 4.健康成人および高コレステロール血症患者を対象とした試験において,テルミサルタン併用によりロスバスタチンの血漿中濃度に軽度の上昇が認められ,ABCG2を介した相互作用が示唆されている。 5.健康成人を対象とした試験において,セリチニブの血漿中濃度は,高脂肪食,低脂肪食,軽食のいずれの食後投与においても,絶食時投与より軽度に上昇したことが報告されている。 6.健康成人を対象とした試験において,in vitro でP-糖タンパク質を阻害するボスチニブの併用は,総ダビガトランの血漿中濃度に有意な影響を及ぼさなかったことが報告されている。