糖尿病とがん
3.糖尿病における発がんリスク上昇のメカニズム
西本祐希
1
,
田守義和
2
,
小川渉
3
1神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門
2神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門・教授
3神戸大学大学院医学研究科健康創造推進学分野・教授
pp.71-76
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201901071
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近年,糖尿病とがんの関連が明らかになってきている。そのメカニズムとして,糖尿病に特徴的な病態であるインスリン抵抗性と,それに伴う高インスリン血症の関与があげられる。高インスリン血症により,インスリン受容体の下流のいくつかの経路が活性化され発がんを誘導するほか,インスリン様増殖因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)シグナルやエストロゲンなどの性ホルモンを介した機序も想定されている。また,高血糖による酸化ストレスの亢進や,肥満や糖尿病で見られる慢性炎症,低アディポネクチン血症などもがんの発生や進展に寄与する可能性が考えられている。