糖尿病とがん
9.メトホルミンと発がんリスク
野島一郎
1
,
和田淳
2
,
鵜殿平一郎
3
1岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学
2岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学・教授
3岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 腫瘍制御学講座免疫学分野・教授
pp.103-106
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201901103
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糖尿病により,がん罹患リスクが上昇することはよく知られている。だが,現在のところ血糖コントロールを厳密にすることでがん罹患率が減少するといった良質なエビデンスは存在しない。しかし,メトホルミン内服によりがん罹患率,がん死亡率が低下することは,メタアナリシスから示唆されている。In vivo,in vitroの実験からメトホルミンの抗腫瘍効果のメカニズムは徐々に解明されつつあるが,近年免疫細胞を介して抗腫瘍効果を発現しているとの報告があり,注目を浴びている。メトホルミンはUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)の報告以降「古くて新しい薬」と言われているが,現在でもさまざまな薬理作用が研究されていることから,今でも「古くて新しい薬」である。