特集 Cardio Oncologyの現状と課題~専門医からプライマリケア医まで考えるべきこと~
7.がん患者での心血管疾患の予防と治療に関する臨床試験~これまでのレビューと今後必要な臨床試験について~ 2)循環器内科医の立場から
佐瀬一洋
1
1順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学・教授
pp.2625-2632
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018122625
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超高齢社会を迎えた今,がんの生涯罹患率は高まる一方,がん医療の進歩も目覚ましく,がんサバイバーの数は増加しつつある。 従来から,がん治療では合併する心血管疾患へ細心の注意が払われてきたが,最近登場した分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬では多種多様な病態が報告されており,その診断・治療・予防に向けた体制整備が急務となっている。Cardio Oncologyとは,腫瘍専門家と循環器専門家の連携を核として教育・診療・研究の質を向上させる,国際的な流れである。 既に欧米では,がん拠点医療機関におけるCardio Oncology Unitの整備が進み,国や学会レベルでも現状認識や将来に向けた課題が共有され,疫学研究・基礎研究・臨床研究が加速しつつある。 本稿では,最新の診療ガイドラインを元に,今後必要な臨床試験について,循環器内科医の立場から概説する。