特集 喘息治療における分子標的治療
1.臨床総論 1)喘息診療における 分子標的薬開発の動向と展望
長瀬洋之
1
1帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学・教授
pp.2389-2394
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112389
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重症喘息治療の開発過程では,IL(インターロイキン)-4,IL-13,TNF(腫瘍壊死因子)-α,IL-17などの阻害は有効性が示されなかった。しかし,現在2型炎症を標的とした分子標的薬の選択肢が増えており,抗IgE(免疫グロブリンE)抗体,抗IL-5抗体と抗IL-5受容体α抗体が承認されている。さらに,IL-4とIL-13の双方を阻害する抗IL-4受容体α抗体の臨床応用は近く,抗TSLP(胸腺間質性リンパ球新生因子)抗体についても第III相試験が進行中である。現状の課題は,非2型炎症に対する分子標的薬が未確立であることと,長期予後を修飾できるかに関する知見が十分でないことにある。本稿では,分子標的薬の現状と展望につき,開発の歴史を振り返りながら,概説する。