特集 インフルエンザの動向とその対策2018 ~ 2019
10.抗インフルエンザ薬予防投与の考え方
渡辺彰
1
1東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門・特任教授/公益財団法人宮城県結核予防会・理事長
pp.2249-2253
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018102249
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抗インフルエンザ薬の予防投与は,発症と重症化の確率が高い集団で特に重要とされる。前向きの予防投与試験では,その効果にプラセボ群と有意差はないとする報告もあるが,これらは解析例数が少なく,インフルエンザの発生頻度が低い集団における報告が多い。一方,発生頻度が高くて大きな集団では,抗インフルエンザ薬の予防投与の効果が大きく期待できる。わが国で予防投与が承認されているのは,ザナミビル,オセルタミビル,ラニナミビルの3剤であり,基本的に治療の場合の半量をほぼ倍の期間投与するが,ラニナミビルでは治療と同様の投与も承認されている。いずれも早めで広範な対処が必要である。