特集 免疫チェックポイント療法の新潮流
10.免疫チェックポイント阻害薬と保険医療
五十嵐中
1
1東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学・特任准教授
pp.1869-1872
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018081869
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免疫チェックポイント阻害薬,特にオプジーボ®の登場により,高額薬剤の財政状況への影響その他を考慮して効率的な医療システムを維持していく方法を考える方向へ世論が転換したことの意義は大きい。 オプジーボ®の効率性・費用対効果については,諸外国でも検討されている。「日本の5分の1の価格」と話題になった英国では,当初は「費用対効果が悪く,公的医療制度での給付対象外」とされた。その後さまざまな条件を付与することで,最終的に患者を絞り込んで給付が認められている。 日本でも,費用対効果の政策応用の動きが進む。当面は価格調整のみだが,いずれ給付の可否も含めた議論が起こることであろう。諸外国のように,費用対効果以外の要素についても十分に議論を尽くす機会を設けることが重要である。