連載 これからの免疫療法の話をしよう[1]【新連載】
免疫チェックポイント阻害薬の誕生
北野 滋久
1
,
珠玖 洋
2
1三重大学大学院医学系研究科病態解明医学講座遺伝子・免疫細胞治療学
2国立がん研究センター中央病院先端医療科
pp.117-121
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200017
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はじめに
近年、がん免疫療法は目覚しい進歩を遂げています。これまでがん医療の進歩に貢献してきた「手術療法」、「放射線療法」、「薬物療法」の3大治療につづく、「第4の治療」として「がん免疫療法」への期待がますます高まっています。
従来のがんに対する薬物療法は、薬剤自体ががん細胞に直接的に作用して殺傷するものがほとんどでした。一方、がん免疫療法は自分自身の免疫機能を利用してがん細胞を制御しようとするものであり、従来の薬物療法とは全く異なるコンセプトの治療です。
がん免疫療法のなかでも、近年、臨床開発に成功し世界的な注目を集めているのが「免疫チェックポイント阻害剤」です。2011年に進行悪性黒色腫に対して最初の「免疫チェックポイント阻害剤」である抗CTLA-4抗体剤イピリムマブ(ipilimumab)が米国FDAで承認を受け、2014年に抗PD-1抗体療法ニボルマブ(nivolumab)とペンブロリズマブ(pembrolizumab)が国内外で承認を得ました。現在、非小細胞肺癌に対しても承認の期待が高まり、さらに他の多くの癌種において後期臨床試験が積極的に行なわれており、臨床開発が進んでいます。
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