特集 実臨床へ向けた時間医薬研究の新動向
7.慢性疼痛の概日変動メカニズムと新しい治療標的
楠瀬直喜
1
,
小柳悟
3
,
松永直哉
4
,
大戸茂弘
2
1九州大学大学院薬学研究院薬剤学分野 特任助教
2九州大学大学院薬学研究院薬剤学分野 教授
3九州大学大学院薬学研究院薬剤学分野/グローカルヘルスケア分野 教授
4九州大学大学院薬学研究院薬剤学分野/グローカルヘルスケア分野 准教授
pp.1453-1458
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018061453
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慢性化した痛みは患者の生活の質(quality of life:QOL)を大きく損ねるため,適切にコントロールしなくてはならない。しかしながら,慢性疼痛の中には既存の鎮痛薬が奏効しないものも多く,新たな作用機序を有する鎮痛薬の開発が望まれている。一方,種々の慢性疼痛患者の病態には約24時間周期の変動(概日変動・概日リズム)が認められ,特定の時間帯に症状が悪化することが知られている。概日変動というユニークな視点から疾患を見つめ直すことで,これまでとは異なる疼痛の原因分子が同定できる可能性がある。実際に,概日変動制御機構に着目した解析を通じて,いくつかの鎮痛薬の標的となり得る分子が見出されている。近い将来,これらの成果が新たな鎮痛薬の誕生につながることを期待したい。