連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈57〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 新生児,GST,吸収不良症候群,薬剤師介入,横紋筋融解症,血管浮腫
Keyword:
● 新生児,GST,吸収不良症候群,薬剤師介入,横紋筋融解症,血管浮腫
pp.148-153
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201701148
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.スペインの単施設での前向きコホート研究において,入院した新生児の17%に薬物有害反応が認められ,有害反応の種類,被疑薬,重症度,因果関係などの特徴が報告されている。 2.ループス腎炎のためシクロホスファミドを投与された患者を対象とした研究において,グルタチオンS -トランスフェラーゼ(GST)の遺伝子多型と治療成績や有害反応との関連が認められたことが報告されている。 3.オルメサルタンを長期間服用していた患者において,体重減少や重度の下痢を伴う吸収不良症候群を呈した2症例が報告されている。 4.スロベニアの単施設での無作為化比較研究において,薬剤師の介入が慢性心不全患者における臨床的に重要な薬物間相互作用を減少させたが,臨床転帰には影響を認めなかったことが報告されている。 5.リスペリドンとエスシタロプラムを併用投与された患者が動悸や胸苦しさを訴え,著明なクレアチンキナーゼ値上昇を認めた症例が報告され,薬物相互作用による有害事象増強の可能性も推測されている。 6.リトナビルなどを服用中のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染患者において,リスペリドンの投与により浮腫を呈した3症例が報告され,薬物相互作用による有害事象増強の可能性も推測されている。