医薬ジャーナル論壇
臨床ファーマコメトリクスの可能性―薬剤師が先導するTDM の革新―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.2009-2011
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201709027
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“臨床ファーマコメトリクス”という新概念が,近年,注目を集めている。ファーマコメトリクスとは,数理学的なモデルとコンピュータ演算処理を用いて,薬剤の有効性や安全性を投与前にシミュレーションし,解析・予測する手法である。新薬の開発費用が年々高騰する中,製薬企業が創薬プロセスの効率化策として導入し,規制当局も承認申請時の資料として認めるまでになった。一方,数理学的モデルによる薬効予測というファーマコメトリクスの方法論は,これまで医療現場で実践されてきたTDM(Therapeutic Drug Monitoring:治療薬物血中モニタリング)に通じるため,実臨床への応用が可能ではないかと考えられるようになった。そこで,名前に“臨床”を冠した臨床ファーマコメトリクスが提唱され,治療薬の個別最適化ツールとして期待されているのである。この臨床ファーマコメトリクスの重要な担い手として,薬剤師には大きな可能性が開かれている。