医薬ジャーナル論壇
“かかりつけ薬剤師元年”に求められる決意-「厚労省・薬局ビジョン」を先導する気概-
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.1213-1215
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201605031
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2016年は,薬剤師職能を考える上で画期的な年となった。改定された調剤報酬の中に,「かかりつけ薬剤師指導料」という新項目が明記されたのである。従来,薬剤師に関する報酬は,薬剤調製といった対物管理に関する評価のみであり,薬剤師個人への算定はなかった。つまり,今回の導入は,薬剤師が薬局の一員としてではなく,一人の医療人として初めて報酬上で認められたことを意味する。その背景には,最近の国の医療政策の中で,薬剤師がますます重視され始めた流れがある。厚生労働省は,2015年9月に「健康サポート薬局」に関する報告書を,また10月には「患者のための薬局ビジョン」という方針書を公表し,薬局を地域医療における重要な医療施設として改めて位置づけた。これらの国の方針において強調されたものこそ,かかりつけ薬剤師の必要性なのである。今,薬剤師には薬物療法の専門職として,日本の医療そのものを前進させる役割が期待されている。