連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈64〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● CYP,免疫チェックポイント阻害薬,耳毒性,溶解性,ステロイド,P-糖タンパク質
Keyword:
● CYP,免疫チェックポイント阻害薬,耳毒性,溶解性,ステロイド,P-糖タンパク質
pp.1938-1944
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017081938
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.各種パラメータを収集し,薬物動態学的相互作用を予測した研究において,ボリコナゾールの薬物動態に及ぼす影響は,オメプラゾール,エソメプラゾール,ランソプラゾール,ラベプラゾールの順で大きかったことが報告されている。 2.フランスの免疫チェックポイント阻害薬に関する症例データベースの調査において,免疫チェックポイント阻害薬を投与された4名の患者がシェーグレン症候群などの結合組織疾患を発症したことが報告されている。 3.カナダの多施設における試験において,モノカルボン酸トランスポーター6のSLC16A5 遺伝子のrs4788863多型を持つ場合,シスプラチン誘発性耳毒性のリスクが低かったことが報告されている。 4.健康成人を対象とした試験において,セリチニブの血漿中濃度はエソメプラゾールの併用で顕著に低下したが,ALK 融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者を対象とした臨床試験データの解析では,定常状態の薬物動態および臨床効果に対するプロトンポンプ阻害薬併用の影響は小さかったことが報告されている。 5.米国の民間健康保険データベースを用いた研究において,経口ステロイドの短期(中央値6日)投与であっても敗血症,血栓症,骨折のリスクが上昇したことが報告されている。 6.健康成人を対象とした試験において,アピキサバン併用はジゴキシンの薬物動態に,アピキサバンとアテノロールの併用はそれぞれの薬物動態に大きな影響を及ぼさなかったことが報告されている。