特集 安全で確実な不整脈治療 ~薬物治療・非薬物治療Update~
5.DOACとワルファリン
鈴木信也
1
1心臓血管研究所付属病院循環器内科・医長
pp.1871-1878
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017081871
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2011年に登場したDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)は,従来のワルファリンと違って用量調整の必要がない。現在使われている4種類のDOACに共通して見られる特徴は,① 有効性評価項目である脳卒中および全身塞栓症において,ワルファリンに対して同等以上の効果があること,② ワルファリンと比較して頭蓋内出血が非常に少ないこと,の2点である。一方で,大出血の発生率はDOACの種類によって異なっていることから,「大出血を少なくするDOACの選択法」が議論になる。一般的な選択法は,大規模臨床試験の結果に基づき,患者の臨床像から選択法を考えるというものである。しかし,「どのDOACを選ぶか」ではなく,「どのような強さでDOACを効かせるか」という点に着目し,「対象患者に常用量で投与するか,減量して投与するか」という観点からDOACを選択することもできる。凝固マーカーによる効果の確認と併せて,DOACの安全使用を実感できる選択法であると考える。