Japanese
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特集 メカノバイオロジー
Ⅱ.力学環境の細胞受容機構
細胞-細胞外マトリックス間接着のメカノセンサー
Mechanosensors at cell-extracellular adhesion sites
木岡 紀幸
1
Kioka Noriyuki
1
1京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻
キーワード:
細胞外マトリックス
,
テーリン
,
ビンキュリン
,
SORBS
,
間葉系幹細胞
Keyword:
細胞外マトリックス
,
テーリン
,
ビンキュリン
,
SORBS
,
間葉系幹細胞
pp.290-295
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201001
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細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)は,その種類だけでなく“硬さ”も間葉系幹細胞の分化や細胞の遊走をはじめとする様々な細胞機能を調節することが明らかになってきた。また,生体内では乳腺や脳などの軟らかい(0.1-1kPa)組織から腱などのように硬い(数10-100kPa以上)組織まで幅広くある。しかも,がんや線維症といった疾患により組織が硬化し,逆に組織の硬化はがんの悪性化を引き起こす。このようなことから,ECMの硬さを感知する分子—メカノセンサー—に注目が集まっている。細胞は,ECM受容体である膜タンパク質インテグリンを介してECMと接着し,インテグリンを含む複合体がアクチン線維と結合することで接着装置を形成する。インテグリン複合体とアクチン線維を一過的に連結させる分子クラッチは,細胞接着に伴う細胞膜の突出に寄与するしくみとして考えられてきたが,分子クラッチにはECMの硬さに応じた張力が作用することから,分子クラッチがECMの硬さを感知するメカノセンサーとして機能することが考えられている。本稿では,接着装置の分子クラッチと考えられているテーリンとビンキュリンに着目して,ECMの硬さを感知するメカノセンサーの分子機構について概説する。
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