特集 ファーマコメトリクス~創薬と薬物治療マネジメントでの活用~
4.トップダウンのファーマコメトリクスによる疾患治療モデルの構築
樋坂章博
1
1千葉大学大学院薬学研究院臨床薬理学研究室・教授
pp.1253-1263
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017051253
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臨床試験の結果に基づくトップダウンのファーマコメトリクスとして,メタアナリシス にモデル解析を組み合わせた,モデルに基づくメタアナリシス(MBMA:Model Based Meta-Analysis)とその方法について解説し,関連した用語であるMBDD(Model Based Drug Development)およびMID3(Model Informed Drug Discovery and Development)との関係について述べる。また我々の慢性心不全のMBMAによる疾患治療モデルの概略について予備的結果を紹介する。慢性心不全の治療効果は致死的なイベント頻度で評価され,多数の被験者と1年以上の期間が評価に必要であった。我々は75の臨床試験に基づくMBMAの結果,心拍数,血圧,左室容積から計算される推定心筋酸素消費量が決定係数0.84で,致死率のオッズ比と良好に相関することを見出した。この結果は臨床試験の効率化,あるいは治療の最適化に利用できると考えられる。