連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈14〉
レパーサⓇ皮下注140mgシリンジ・ペン
炭昌樹
1
,
寺田智祐
2
1滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部
2滋賀医科大学教授・医学部附属病院薬剤部長
pp.922-924
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201703160
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◆ 製剤の特徴 1980年代後半に登場したスタチンは,世界中で多くの患者の心血管系疾患の予防に貢献してきた。しかし,遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症では,食生活や禁煙をはじめとした生活習慣の改善,スタチンや他の脂質異常症治療薬との併用によっても十分な効果が得られないことがあり,投与量の増量による副作用リスクも問題となる。 2016年4月に発売されたレパーサ®皮下注は,心血管イベントの発現リスクが高く,HMGCoA還元酵素阻害剤で効果不十分な家族性高コレステロール血症,高コレステロール血症に対して適応を持つ抗体製剤である。プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9:PCSK9)は,肝細胞表面で低比重リポ蛋白(LDL)受容体のリサイクルを制御している。レパーサ®はPCSK9蛋白を阻害することによってLDL受容体のリサイクルを促進し,血中LDL-コレステロール(LDL-C)を低下させる,新規作用機序の高LDLコレステロール血症治療薬である。