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マンジャロ®皮下注(チルゼパチド)
濵崎 暁洋
1
,
稲垣 暢也
1
1田附興風会医学研究所北野病院糖尿病内分泌内科
pp.983-987
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000336
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糖尿病の治療におけるインクレチンGIPとGLP-1
栄養素の経口摂取によって消化管から分泌され,膵β細胞におけるグルコース応答性のインスリン分泌を増強するインクレチンの関連薬剤として,glucagon-like polypeptide 1(GLP-1)受容体作動薬とdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬が2型糖尿病治療薬としてすでに広く臨床使用されている1).インクレチンの1つであるGLP-1は糖尿病状態においてもブドウ糖応答性のインスリン分泌を増強する作用を有し2),有効な血糖降下作用が示されたことから,早期からその薬剤開発が進められた.また,蛋白質分解酵素であるDPP-4を阻害するDPP-4阻害薬は,その基質である活性型GLP-1だけでなく,同様に基質であるもう1つのインクレチンである活性型glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)の血中濃度をも上昇させる.しかし,GIPは高血糖状態にある2型糖尿病患者への投与ではグルコース応答性のインスリン分泌の増強が減弱していること,またマウスでは高脂肪食摂取時に肥満やインスリン抵抗性を誘導する作用が明らかにされた3)ことなどから,糖尿病治療への有用性はGLP-1の作用を中心に語られてきた.
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